vol.52(2018.11)【特集】

明日につなげたい心の輪

今年7月から8月にかけてアソウ・ヒューマニーセンターグループでは、シーズアスリートを対象とする「全社営業キャンペーン」が行われた。
その目的や成果、今後に対する思いをリーダーの工藤力也が語る。


工藤 力也 (くどう・りきや) 

ゴールボール男子強化指導スタッフ/C’s Athlete リーダー

1981年6月11日福岡県生まれ。19歳でレーベル症(視覚の中心部分を次損)を発症し視覚低下。現在の視力は0.02(矯正不能)。
2017年3月にゴールボール日本代表を引退。男子強化指導スタッフとして活動の傍ら、シーズアスリートのリーダーとして所属選手を束ねる。
コーチとして初の世界舞台2017年6月トラカイトーナメントに臨みゴールボール男子チーム銅メダル獲得。

 


―まず「全社営業キャンペーンについて教えてください。 

アソウ・ヒューマニーセンターグループ全社で対象部門の商材を学び、約2ヶ月間にわたり全社で対象部門の営業活動を行うものです。
グループの全社員が同じ目標のもとに協力し、チームとしての結びつきや信頼関係を高めることが目的で、昨年に続いて2年目の開催となります。

 

―シーズアスリートがキャンペーンの対象となった経緯は。 

今年度のキャンペーン内容を決める際、自主的に手を挙げたんです。
シーズアスリートの会員数は除々に増えていますが、地元福岡でも認知度は決して高いとは言えません。そこで東京2020大会開幕の2年前にあたる今年の夏、私たちのことをひとりでも多くの方に理解してもらうため社外講演会にお招きし、法人・個人会員のご入会につなげたいと考えたわけです。

 

―講演会という手法を選んだのは? 

最も説得力があって理解を得られやすいからです。これまでも選手自らが生い立ちや競技、夢、シーズアスリートの活動などをじっくりと語ることでご支援の輪が広がってきました。講演会にお招きするということであれば、グループの社員も声をかけやすいですしね。

 

―キャンペーンに先立って社内講演会を開いたそうですが。 

グループの社員に、私たちへの理解を深めてもらうためです。
実際に講演を聞いてもらった方が私たちの想いに共感してもらえるし、営業活動の場でもご案内しやすいと思ったんです。

 

―講演会の内容は。 

メインは浦田選手の講演で、私がシーズアスリートについて説明し、各メンバーも一人ずつ自己紹介する時間を設けました。
社外講演会も基本的には同じです。

 

―ところで、普段はメンバー自身が営業を行っていますよね。 

法人会員企業様とより良い関係を築くため各自が10社ほどを担当し、競技の報告や契約更新のお願いに伺っています。

 

―さらにキャンペーンにも取り組んだということですか。 

はい。ただしメンバーにはこう伝えました。行動範囲を広げて飛び込み営業をしたりするのではなく、意識を変えて一歩踏み込んでほしいと。

 

―具体的には。 

たとえば、担当する企業様を訪問したときに「お会いして説明を聞いてくださったり、講演会にお越しいただけそうなご友人や知人がいらっしゃったら、是非ご紹介下さい」と、今までなかなか口に出して言えていなかったこともつけ加えるように伝えました。
そうやって、自らの行動によって新たに法人・個人会員にご入会いただけるという体験を重ねることで、社会人としての自信や成長につなげてほしいと思っていました。

 

―社外講演会の集客状況は。 

定員180名に対して200名ほどの応募がありました。

 

―キャンペーンの成果は。 

おかげさまで法人会員企業6社、個人会員30名にご入会いただきました。

 

―キャンペーンを経験してメンバーに変化は見られましたか。 

実は新規ご入会の6社には、メンバー自らが行動したことで新たなご縁につながった企業様もあるんです。一方で、行動量がたりなかった者もいる。
当然アスリートとしての競争意識があるはずで、結果が出なかったメンバーは自分のやり方を変えていかないといけないという危機感を持ったり、チーム内に新しい刺激が生まれたことはとても良いことです。
また、今回グループの社員に協力してもらったことで、今まで以上に頑張らなければいけないと、さらに気持ちが引き締まったのではないかと感じています。

 

―東京2020大会に向けて、さらに支援の輪を広げていく。 

東京での開催が決まってアスリートの雇用が進み、練習環境も向上しています。でもそれは、一部のトップレベルの選手だけなんです。
開幕まで残り2年を切りましたが、ひとりでも多くの選手に最大限の準備をして本番を迎えてもらえる環境を提供していきたいと考えています。

 

―そうした取り組みを2020年以降も続けていくと。 

もちろんです。
実はリオパラリンピックを終えたあと、引退するつもりだったけど母国開催が決まって、あと4年頑張ろうと現役続行を決めた選手は全国的にも少なくないんです。それで、2020年を境にトップ選手が引退して世代交代が一気に加速し、日本の競技レベルが急激に下がることが懸念されています。
だから2020年の先も見据えて次世代の選手を迎え入れ、日本のスポーツ界に貢献する。それが多くの方に支えられているシーズアスリートの指名であり、障がい者アスリートを支援することが企業にとってひとつの社会に貢献になるのではないかと思っています。

 


シーズアスリート営業キャンペーンに参加して

岡本 瞬 

アソウ・ヒューマニーセンターグループ
株式会社福利厚生倶楽部九州 社員

浦田選手の講演を聴いたことは何度もありますが、毎回、自分の中にある色々なスイッチを押しもらっています。
この“感動や気付き”それに対する“感謝の気持ち”に対して私がすぐに出来ることは、自分が感じたことやシーズアスリートという組織のことを一人でも多くの人に伝えること。そして共感していただき、支援の輪を広げて行くことだと思います。
世界の舞台を目指す選手たちとともに働ける環境に私自身が勇気と感動をもらい、励みとなっています。
今後も多くの方々にシーズアスリートのことを伝えていきたいと思っています。